自然のままではありません
秋を代表する植物の一つ、ススキ。
イネ科ススキ属の植物で、日本全国に広く分布していますが、かつては日本の生活に欠かせない植物でした。
今ではすっかり珍しくなった茅葺き屋根。
茅とは屋根を葺くために用いる丈の高い草の総称ですが、その一つがススキです。
茎には油分があり、水をはじき耐水性に優れていることから、一度葺けばおよそ15~20年程度はもつそうです。
屋根を葺くには乾燥した茅を使い、どのくらいの量を使うかは、屋根の形、地域の気候条件などによって変わってきます。例えば世界遺産・白川郷の合掌造り一棟の屋根全体を葺き替えるには、4トントラック約25台分の茅が用いられます。
これだけ大量の茅が必要なことから、茅葺き屋根が普通だった昔は、人里近くにはススキを大量に採取するための「茅場」という場所がありました。
この茅場ですが、何も手を入れずに放っておくと、次第に雑木が生えてしまってススキを刈ることができなくなるため、定期的に草刈りや火入れを行うことで、ススキ草原の状態を維持してきたのです。
ススキといえば広い草原を思い浮かべる方も多いかと思いますが、実は人の手で守られてきた風景なのですね。
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