「紅」だけど白もあります
植物の中には、繊維などを染める染料として用いられているものが多くありますが、今回ご紹介するのもそんな植物の一つです。
ベニバナは、日本では中国の染料を意味する「呉の藍(くれのあい)」から「くれなゐ」となり、万葉集にも詠まれるなど、古くから染料として用いられてきました。
ちなみに、学名のCarthamus tinctorius L.の意味も、Carthamusは「染める」、tinctoriusは「染色用の~」です。
ベニバナの花には二種類の色素が含まれており、一つは黄色のサフロールイエロー、もう一つは紅色のカルタミンです。
しかし、サフロールイエローは水に簡単に溶けるのに対し、カルタミンはアルカリ性の水でないと溶けないため、取り出すのが難しく、さらにベニバナの花の色素の割合は、サフロールイエローが99%なのに対しカルタミンはわずか1%。
その貴重さから、ベニバナから採れる紅は江戸時代には「紅一匁金一匁(べにいちもんめきんいちもんめ)」とまで言われ、一大産地であった山形県最上地方には「紅花大尽」と呼ばれる豪商がいたそうです。
そんなベニバナですが、現在では主に観賞用として栽培されており、ベニバナゆかりの地である山形県では、めずらしい白いベニバナが栽培されているそうです。
これからが開花の時期ですので、機会がありましたらぜひご覧になってみて下さい。
写真提供:天童市
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