豊かな自然をもたらします
寒の戻りもありますが、だんだんと春めいて来ました。真冬に北海道のオホーツク海を埋め尽くしていた流氷も、南風に吹かれて少しずつ岸から離れていきます。そこで今日は、流氷がもたらす自然の恵みについてご紹介します。
暖かくなって流氷が溶けはじめると、氷の中や底にいる植物プランクトンが海中に放出されます。それらは、流氷とともに海流で運ばれた豊富な栄養分と日光で光合成を行い、爆発的に増殖します。
すると、これを食べるオキアミ、オキアミを食べるサケ・マスの稚魚やタコ・イカなどの軟体動物が集まります。さらにこれらを捕食するため、海鳥、クジラ、トド、アザラシ、シャチまでもがやって来ます。海底に棲むウニやカニ、ホタテなども、植物プランクトンを餌にします。
海の底では、氷が沿岸の海底をこすって雑草的な海藻を取り除いてくれることで、岩場の海藻に光が十分届くようになり、海中の栄養分を利用して光合成が行われます。すると、若いコンブなどの有用な海藻が一気に育つそうです。
昔は漁を阻むやっかいものとされた流氷ですが、実は豊かな自然を育むために、なくてはならないものだったんですね。
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