各自で自然農法野菜を育てるしか手はないのか

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原三郎さんのプロフィール

 

NPO法人 日本マルベリークラブ

代表理事 President · 2004年6月から現在

桑・カイコ・絹の新しい機能の解明とその利用方法の研究、それらの効果の普及活動

Studies, development and promotion of new functions and utilization of mulberry,silk-worm and cocoon.

 

 

各自で自然農法野菜を育てるしか手はないのか

 

 

小松菜の施用試験

 

 

「殿様が目黒まで遠乗りに出た際に、殿様一同腹をすかせているところに旨そうな匂いが漂ってきた。

殿様が何の匂いかを聞くと、供は「さんまというものを焼く匂いです。」と言う。殿様は供にさんまを持ってこさせ、大根おろしと醤油で焼きさんまを食べた。

後日、殿様がさんまを所望されたので、家中は大騒ぎとなり、油を抜き、骨も残らずとって、椀に入れてだした。

殿様はそのさんまがまずいので、「いずれで求めたさんまだ?」と聞く。「はい、日本橋魚河岸で求めてまいりました」「ううむ。それはいかん。さんまは目黒に限る」。

落語「目黒のさんま」の概略です。

庶民のさんまの食べ方は、大根おろしに醤油で焼きさんまを食べる「目黒流」が一般的でしょうね。

ところが、油抜き、骨抜きのまずいさんまを食べさせられた殿様の食べ方の方が身体にはずっと良いのです。

大根おろしには硝酸塩が含まれています。

硝酸塩があれば一定割合で必ず亜硝酸塩が含まれています。

この亜硝酸塩は酸性でアミン類と反応してニトロソアミンと言う発がん物質を作ります。

「目黒流」のさんまを食べると、胃の中で亜硝酸とさんまのアミン類が胃酸と言う酸性条件の下で効率よくニトロソアミンができてきます。このニトロソアミンががんの引き金を引くことになるのです。

日頃、私は野菜を食べることを推奨していますが、野菜を食べすぎると、大量の硝酸塩を食べてしまうという厄介な問題が生じます。

なぜかというと、上の表にあるように、化学肥料で育てた小松菜1kgには877mgの硝酸塩が含まれています。

無肥料で育てた小松菜には24.2mgしか含まれておらず、化学肥料小松菜の36分の1と非常に少ないのです。

スーパーなどで売られている野菜は、成長を早めるために窒素肥料を大量に与えられます。

このため、成長は早く、出荷までの期間を大幅に短縮できます。

野菜は、窒素を硝酸塩として吸収し、体内でアミノ酸へと変換します。

ところが、あまりに多い硝酸塩にアミノ酸への変換が追い付かず、やむをえず硝酸塩の形で体内に蓄積しています。

私たち消費者はこの硝酸の多い野菜を食べざるを得ないのが現状なんです。

野菜を食べることによる弊害は考えられません。

ところが、硝酸と言う思わぬ伏兵がいたんですね。

無肥料(自然農法)の野菜が手に入るのなら、問題は簡単に解決します。

しかし、今自然農法を実行している農家が何軒あるかを考えたら、解決の困難さが良く分かります。

一口農園で、各自が自然農法野菜を育てるしか手はないのでしょうか。

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