環境と健康、自然と人間、
社会と個人の命は繋がっている
印鑰 智哉さんから
グルテン・アレルギーの問題。小麦のせいだといわれるが人類が長く食べていた小麦がなぜ悪いのか、納得できないでいるのだけど、やはりグルテンは腸の細胞の密着結合を緩めてしまい、問題を引き起こすことはあるらしい。
でもなぜ、人類は小麦を歴史的に長く食べてきたのに最近になってこの問題が劇的に大きな問題になっているのか? 米国ではすでに1800万人以上がグルテン過敏症だという。
グルテンを過剰に加工して食べ過ぎる食生活になった、というのは1つの仮説として成り立つだろう。そして、品種改良でグルテンに毒性がついたという説もあるらしい。
それならば、改良前の小麦の種が残っていればそれを食べれば大丈夫では? 果たしてあるのか?
しかし、それ以上に気になるのが除草剤ラウンドアップ(グリホサート)とBt毒素だ。Bt毒素は虫の腸にすぐ穴をあけて、殺してしまうバクテリアだが、哺乳類の腸にも細かい穴を開けるという。
さらにグリホサートは腸内細菌を傷付け、細胞の結合を緩くするという。
その結果、リーキーガット(穴あき腸)になってしまう。これがアレルギーやさまざまな炎症、多くの慢性疾患の原因となっていくというのだ。
この図は小麦にかけられるグリホサートの量の増加とセリアック病(グルテンに対する自己免疫疾患)の増え方を合わせたもの。
遺伝子組み換え小麦はまだ商業栽培になっていないが、収穫前にグリホサートをまくプレハーベスト農薬散布での散布が激増している。
腸に穴をあける遺伝子組み換えとグリホサートこそがグルテン・アレルギーの主犯なのではないか?
犯人捜しは時間がかかるので、どのようにそうした症状から回復するかなのだけれども、腸内細菌の多様性を回復することが鍵になるようだ。
納豆とか、キムチとか善玉菌を含む発酵食品を摂れば、と思うかもしれないが、もし同じ菌類を腸に入れるのであればそれは多様性の回復にはつながらない。むしろ1つの菌のモノカルチャーを作り出してしまいかねない。
もちろん、GMOを排除するのは基本で、さらに善玉菌の栄養となる栄養素を採るとか、そのへんは間違いないのだろうけど、さらにさぐっていくと、なかなか理解が難しくなる。
バクテリア間のネットワークを回復するとか、バクテリアは脳の細胞のようにコミュニケートしているらしい? 腸のバクテリアは第2の脳なのだとか、うーん、理解がついていかない。
しかし、おもしろいのは土壌と腸を重ね合わせて考えたのはかなり深いところまでつながりそうなことだ。腸の回復と土壌の回復は本質的につながっているのかもしれない。
土壌に毒をまけば腸がやられる。土壌の成分で腸が守られる。環境と健康、自然と人間、社会と個人の命がつながってみえてくる。
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