若かりしころある研究者グループ(高名なる東京大学教授もいらっしゃった)と数名で有楽町の行きつけの酒場で呑んでいました。
なにやら秋には東京で農業経済学会を開くのだということでホテル選定をされていました。
中国からも学者が参加されるということでした。そこで私は中国からも参加されるのなら、築地市場の宿泊場所を思い出し提案してみました。
するとその高名なる先生が興味深くこの話にのってこられました。東京都では世界5ヶ国語で案内のパンフレットも作成しており、早朝の魚類や青果物のせり風景を見てもらうといいのではないでしょうかと説明を続けました。
築地市場は水産を中心に世界に冠たる市場で、兜町に次ぐ日本資本主義のシンボルみたいなとこではないですか。中国の経済学者はさぞかしお喜びになるに違いないと説明しますと、酒の勢いもあってか「それはいいアイディアだ!」とその場が盛り上がりました。
そ のとき私はテオドル・ベスターさんという築地市場を研究する米ハーバード大教授のことを思い出していました。ベスターさんは大学生時代に2年間、卒業後に 7年間、東京で暮らしました。同氏の「TSUKIJI」(04年刊)は、アメリカ人類学協会経済人類学部門の06年最優秀賞を受賞されています。こうした 研究者の協力もあり「つきじ」は文字どおり世界のブランド「TSUKIJI」になっています。
そこで、すかさず「こ れから夜更けの築地市場を視察してみませんか?」と畳み込むと、一同すぐに「賛成!」となりました。10時過ぎみんなで歩いて築地市場に向かいました。と ころで夜の築地市場はさながら日本の縮図となります。全国から出荷のために築地市場へ大型トラックがやってきます。
一般的にはこうした夜更けの築地市場を視察する機会はなかなかありません。夜勤労働の実態をみながら、売り場を案内しました。
そ こにある産地から届いた「柿の葉っぱ」「もみじの葉っぱ」が小さな木箱にラップされて入っていました。農産物は捨てるところがありません。こうした農産物 を商品に仕立てることができる人とそうでない人があります。
築地市場周辺の高級料理屋などでは、料理の盛り合わせの彩りに使います。エディブルフラ ワー(食用の花)よりはるかに彩りは日本の食文化に上手くマッチングします。
あなたも裏山のゴミとなる素材を商品化してみませんか?
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