産地はもっとファンを大切に
.
かつて大阪市中央卸売市場の仲卸店舗での光景であった。
夏が去り初秋のころだった。市場は朝が早い。したがって午後4時ごろにはほとんど仲卸店舗がシャッターを下ろすが、知り合いのOさんの店舗では3人の背広姿の人がイスに座り熱心にメモを取っていた。
その光景に釘付けになったのだ。
3人は大分県大阪事務所の職員であった。
大分県の促成野菜に対する要望・批判を聞き出していたのだ。
仕事熱心なOさんは時の過ぎ行くのも忘れ市場での評価を親切に説明していた。
ところで県の職員や農協の職員は市場での評価を取材するとき、せいぜい卸売会社までである。
仲卸まで足を伸ばすことはほとんどない。
注意しなければならないことは卸売会社は集荷のためには、駆け引きをしなければならないということだ。したがって産地に対する悪い評価は決して言えない。
しかし仲卸はその心配がないから本音が言えるのだ。
産地に対する耳障りの悪いことでもズバ、ズバ発言できる。
まともな産地ならこうした評価を聞かないといけない。耳障りのいい「ヨイショ」の話を聞き「お土産」をもたされて喜んで帰るような産地は発展性がないのだ。お土産代は結局のところ商品代金から捻出するしかないのだから。
Oさんの後日談であったが、仲卸の促成部会では大分フアンができ大分の産地視察を企画したりして結びつきを強化していた。
こうしたOさんたちの努力が産地形成に一役かっていることも産地は忘れないで欲しい。
あとは、こうした先覚者の努力を無駄にすることなく、若い人たちは継続・発展させないともったいない。
コメント