毎日新聞は以前、企画特集で「食育を知る・考える」という紙面で「ショクイク」を世界へ発信しました。
目玉は服部栄養専門学校長と藤野食育料理研究家の対談であった。そのなかで服部先生は重要な指摘をされた。
「子供がご飯を食べ残しても、いまの親は注意をしない。箸を正しくもてる子供が非常に少ないのに、親は知らん顔です。米国の家庭を見て来て感心した ことがあります。
食事のときはテレビを消し、家庭の話題で盛り上がります。夜8時半ごろになると、親は『もう寝なさい』としっかりと言います。日本と違っ て、テレビやゲームを夜遅くまでだらだらとやらせている親はいません。
アフリカで観察したのですが、ライオンやゾウの親は、子どもが自活できるまでしつけて独立させています。人間の親はそのことを忘れたのかもしれません。動物も人間も、食卓のしつけで始まり、しつけで終わるのです」
このしつけがこれまでの日本人のバックボーンになってきたのだと思います。しかし、いまや食生活の変化と「躾」の喪失に日本人の堕落の始まりがある のではないかとさえ思います。テレビ番組で料理を食べる番組が多いですが、ゲストでも箸の持ち方が出来ていない人が多いようです。ゲストがたとえ美人で も、これを見ると私はゲンナリでお里が分かるような気がします。
そして、こう続きます。
「日本の食料自給率はカロリーベースで40%しかない。フランスの自給率は130%、ドイツは91%、豪州は230%もあり ます。驚くなかれ、日本は毎年約2180万トンもの残飯を出しています。家庭から出る残飯だけでも1000万トンを超えます。世界では1日で約2万 5000人も餓死しているわけですから、無駄な残飯を節約して、その分の食料を援助に回すことはできないのかと思いますね。ノーベル平和賞を受賞したケニ アのワンガリ・マータイさんが提唱しているように、みながもっと”モッタイナイ”意識を身に付けることが大事でしょう」
カロリーベースで40%という先進国最低の食料自給率で、年間2000万トン余もの残飯を出しているという、とんでもないこのパラドックス。ここまで堕落してしまった日本人は、もう神の怒りをかうような気がしてなりません。
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