グルコシダーゼという酵素の役割とは・・・
Npo法人 日本マルベリークラブからシェア
代表理事 President · 2004年6月から現在
桑・カイコ・絹の新しい機能の解明とその利用方法の研究、それらの効果の普及活動
Studies, development and promotion of new functions and utilization of mulberry,silk-worm and cocoon.
生きている物、すなわち生物の生命活動は、自分のDNAの情報に基づいて自ら作っている酵素によって成り立っています。
糖尿病に関連する消化酵素には、アミラーゼとグルコシダーゼがあります。口から小腸までの間でデンプンは消化され、グルコースとなって血糖値を上昇させます。この二つの酵素の両方または片方の働きを止めると、血糖値の上昇は低く抑えられます。
桑の葉には、グルコースと同じ立体構造のDNJ(1-デオキシノジリマイシン)という化合物がたくさん含まれていて、このDNJがグルコシダーゼの働きを止めてくれます。だから、糖尿病の人が桑茶を飲み続ければ、血糖値がどんどん下がっていき、担当の医師でさえ驚くほどの血糖値の低下をもたらします。
グルコシダーゼという酵素は、なぜ、DNJによって酵素作用を止められるのでしょうか。
酵素は、まず自分の作用すべき対象物(これを基質と言います)の立体的な構造を識別します。酵素の立体識別は極めて厳格で、例えば、写真上段の人形二体は同じように見えますが、まったく異なった立体構造をしています。両者は、実物と鏡に映ったものなので、絶対に同じものではないのです。酵素は、どちらが自分の基質であるかを立体的に厳密な判定をします。自分の基質と判断される人形には強いハグをしますが、もう一つの人形には目もくれません。
中段の写真は同じ立体構造の顔ですが、片方は口髭を蓄えています。グルコシダーゼは口髭の君と親密な関係を持っていたのですが、ある時、口髭のない君が現れました。こっちの方がカッコいいわってわけで、口髭の君よりもっと強くハグしてしまい、もう、離れられないわ、ってことになります。
グルコシダーゼの基質はマルトース(麦芽糖、グルコースが2個つながったもの)です。DNJとハグしてしまったグルコシダーゼは、マルトースを見向きもしません。その結果、グルコースができず、血糖値が上がらないってことになってしまうのです。
コメント